Polaris
「今日も雨だよ、っと……」
私は今日も、弾んだ気持ちの中で指先を動かしていた。
毎日、毎日、絶えることなく続いているイツキとのメール。お互いの悩み事や嬉しかったことの話から、他愛もない話まで、内容は様々だ。
ブーブーブー。
《こっちは晴れてる。快晴。いいでしょー? それよりキョンキョンさ、まだスマホに変えないの?》
たった今、イツキから光の速さで返ってきたメールの内容。
あの、初めてイツキの声を聞いた日から1週間が経った。
あれ以来、メールだけではなく通話もする様になったのだけれど、お互いに使っている携帯の会社が違うため、そんなに長くはしていられない。
イツキは、スマートフォンに変えれば無料通話が出来るからと、私にガラケー卒業を強く勧めてくる。
「んー……」
正直なところ、ガラケーを未だ使っている理由なんて、そんなに連絡を取る友人がいないから、というところで。
決して、ガラケーに拘っているわけではない。