Polaris
実は、ここ最近の私は、スマートフォンに変えてもいいかなぁ……なんて思い始めている。
カチ、カチ。
《そろそろ変えてもいいかな、とは思ってるけど。》
……送信。
別に、イツキに勧められたから変えるというわけじゃないけど……なんていうのは、嘘。
私がそう思うようになったのは、間違いなくイツキが関わっている。一番大きな理由で、原動力だ。
《あ、俺が変えてって頼んだからスマホに変えてくれるんだー? ほんと可愛いなぁ、キョンキョン》
たった今受信した、イツキからのメールの内容。それを見た私の頬は、一気に熱くなった。
「……もう。なんなのよバカ」
多分、今、物凄く赤いであろう私の顔。
冗談だと分かっているのに、こうしてまたイツキの冗談だけは軽く流し切れない私は、きっとどうかしている。
《別にイツキが入ったから変えるわけじゃないから。冗談言わないで。馬鹿。》
私は、赤面しながら、こんな風にツンケンした返事を送ったのだが……その数日後には、ちゃっかりスマホデビューを成功させた。