Polaris

実は、ここ最近の私は、スマートフォンに変えてもいいかなぁ……なんて思い始めている。


カチ、カチ。

《そろそろ変えてもいいかな、とは思ってるけど。》


……送信。

別に、イツキに勧められたから変えるというわけじゃないけど……なんていうのは、嘘。

私がそう思うようになったのは、間違いなくイツキが関わっている。一番大きな理由で、原動力だ。


《あ、俺が変えてって頼んだからスマホに変えてくれるんだー? ほんと可愛いなぁ、キョンキョン》


たった今受信した、イツキからのメールの内容。それを見た私の頬は、一気に熱くなった。


「……もう。なんなのよバカ」


多分、今、物凄く赤いであろう私の顔。

冗談だと分かっているのに、こうしてまたイツキの冗談だけは軽く流し切れない私は、きっとどうかしている。


《別にイツキが入ったから変えるわけじゃないから。冗談言わないで。馬鹿。》


私は、赤面しながら、こんな風にツンケンした返事を送ったのだが……その数日後には、ちゃっかりスマホデビューを成功させた。

< 41 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop