Polaris

《うん。身体が勝手に起きちゃうから。イツキは出勤時間早いもんね》

まだ少し慣れない手つきで文字を打ち、そうメッセージを送る。すると、既読という文字はすぐに付き、肝心な返事もその後すぐに返ってきた。

《うん。そうなんだよね。あー、仕事やだなぁ。ずっとキョンキョンとこうしてたーい》

この返事に、私はやはり顔を熱くしてしまう。

こうしたイツキの冗談は、本当に心臓に悪い。そして、何故だかほんの少し胸が痛む。


《何言ってんの、バカ。変な冗談言ってないで早く仕事行って。》

《えー、ひどーい》

《何が酷いのよ。本当にそういう冗談やめてって何回も言ってるのにやめないそっちが悪い。》

《冗談なんかじゃないのにー、もう》


メールより何倍も早くやり取りが進む、このメッセージアプリ。

やり取りは早く進んでいるけれど、その分、どうしても私の胸は追いつかない。

やり取りをすればする分だけ、痛くて、苦しくて、辛くて。自分が変になってしまいそうだ。

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