Polaris
「うん、いいよ。北海道も悪くない」
美味しいもの食べ歩かないとね、と意外にも乗り気な詩織。そんな詩織にバレないよう、私は机の下で小さくガッツポーズをした。
自分が思っていた以上に、北海道へ行けることが嬉しい。早くも今から楽しみだ。
よーし、後で早速イツキに報告しようかな。……あ、でも、突然今北海道に居るよと送った方が驚いてくれるかな?
あわよくばイツキに会えるかもしれない。そう考えると、自然に緩んでしまう私の口元。私は、それを隠すためアイスミルクティーのストローに唇をつけた。
「キョン、なんか嬉しそう」
「え? そう?」
ゴクリとひと口分のミルクティーを喉に流し込み、ストローを口から離す。
緩んだ口元を隠したつもりでいたけれど、やはり詩織にバレてしまった。
……ポーカーフェイスを保つことも、平然を装うことも、こんなに難しかったっけ。どれだけ頑張っても、口角がどんどん上がってくる。