Polaris

「上がってるよ、口角」

「う……」

「これは北海道に何かあると見た」

「べ、別に何もないって」


やはり、詩織には敵わない。まるで、何もかも見透かされているみたいだ。


「全然待つけど、いつかはちゃんと教えてよね? キョンの口から」

「うん。分かってる」

「あ、今認めた。何かあるって」

「な、詩織! カマかけた⁉︎」

「なーに言ってんの。カマなんてかけなくても既に分かってたもん。そのくらい」


私を見縊らないでよね? と言って、パンケーキを口へと運ぶ詩織。

モグモグと口を動かして幸せそうにパンケーキ頬張っている詩織。そんな彼女を見ていると何故だか私まで少し幸せな気持ちになるから不思議だ。

そんな幸せな気持ちのまま、私もパンケーキを食べる手を進める。

そして、北海道へ飛び立つ日を想像してはまた緩む口角を「美味しい」というひと言で誤魔化してみたりした───。



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