Polaris
「───でしょ? あと、ほら、23ページの所とか」
『うわぁ、本当だ。なにこれ超可愛いじゃん。キョンキョンさっすが』
「自分の出版社の本だから、一応隅々まで読み尽くしてるの」
とある、快晴の日曜日。
土日は、イツキも私もお互いに仕事が休み。だから、今朝から日が沈みかけている今まで我が出版社ナチュラルファクトリーの本について盛り上がっていた。
『あ、じゃあ自分のところの小説とかも読んでる?』
「うん、もちろん。私もともと小説とか凄い好きだから」
『あはは、やっぱり。そんな感じする』
「ミステリーとか、推理小説とか。時代小説もノンフィクションも読んでるよ」
ふと、部屋の本棚へと目を移す。
3つ並べられた白いカラーボックスには、文庫サイズの小説がズラリと並んでいる。
ナチュラルファクトリーから出版されている数少ない小説をはじめ、他の出版社の小説まで。ジャンルは様々だ。
『オススメとかある?』
「えー? 私オススメの小説、前にも聞いたじゃない」
『あー、あれ? あはは。そうだっけ?』
「うん。聞いたよ。別に良いんだけどね。うーん……そうだなぁ。最近は夏目漱石とか好きで読むかな」