Polaris
普通に出会ってたら、付き合えた? それなら、ネットで出会った現実では?
なんて、そんな事を考える私は、まるでイツキの事が好きみたいじゃないか。
『キョンキョン?』
「え、なに?」
『ごめん、変なこと言っちゃった? 俺』
ほら、やっぱりイツキは何の気もなく言ったんだ。私が深く考えすぎただけ。もう、気にしないでおこう。
「あ……ううん。ちょっとぼうっとしてただけだよ」
『そう? それなら良かった。……あ。もう暗くなってきたね』
「え? ……あ、本当だ」
『そっちももう暗いでしょ? あ。ねぇ、キョンキョン。星、見える?』
「あ……うん。見えるよ」
これ以上、深く考えないでおこう。
そう思ったばかりなのに、どうしても胸をモヤモヤとさせるイツキの言葉。
一体このモヤモヤの正体は、何なのか。胸がギュッとキツく締め付けられるのは何故なのか。
考えて、考えて、考えても辿り着けなかった、この感情の名前。
私のこの感情に名前があるとするのなら、それは一体────。