Polaris

普通に出会ってたら、付き合えた? それなら、ネットで出会った現実では?

なんて、そんな事を考える私は、まるでイツキの事が好きみたいじゃないか。


『キョンキョン?』

「え、なに?」

『ごめん、変なこと言っちゃった? 俺』

ほら、やっぱりイツキは何の気もなく言ったんだ。私が深く考えすぎただけ。もう、気にしないでおこう。


「あ……ううん。ちょっとぼうっとしてただけだよ」

『そう? それなら良かった。……あ。もう暗くなってきたね』

「え? ……あ、本当だ」

『そっちももう暗いでしょ? あ。ねぇ、キョンキョン。星、見える?』

「あ……うん。見えるよ」


これ以上、深く考えないでおこう。

そう思ったばかりなのに、どうしても胸をモヤモヤとさせるイツキの言葉。


一体このモヤモヤの正体は、何なのか。胸がギュッとキツく締め付けられるのは何故なのか。

考えて、考えて、考えても辿り着けなかった、この感情の名前。

私のこの感情に名前があるとするのなら、それは一体────。


< 52 / 202 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop