Polaris
第4章 他人行儀で堅苦しい言葉の仮面
私がイツキのことを好きだなんて、今気付いたって遅かった。きっと、遅すぎたんだ。
あれから二週間。私のメッセージアプリの友達欄から。イツキは消えた。
電話番号も変わってしまっているようだし、あのSNSサイトからもイツキは消えてしまっている。
もう、完全にイツキとの繋がりは無くなってしまった。
やっぱり、所詮はネット。その唯一の繋がりを絶たれれば、もうこちらに連絡をとる手段なんてないんだ。
私がいくら思っていたって、好きでいたって。本当に、脆く、すぐに切れてしまう。そんな縁だったんだ。
「あ、唯川さん」
「三浦くん」
「行きましょうか、そろそろ」
「あ、うん。そうだね」
正直、今も泣きそうだ。胸がずっと痛い。だって、たった数週間で忘れられるわけがない。だけど私は、そんな事も気にしていられないくらいの大きなプロジェクトに参加していた。
そのプロジェクトというのが、今、この本が売れない時代で、この会社が生き残れるかがかかっていると言っても過言ではないくらい大きなプロジェクト。