年の差400歳?!
「ねぇ、幸村さんに奥さんはいるの?」
過った瞬間、口にしていた。
しまった、聞くつもりはなかった。
何より、聞きたくない。
「いるぞ、4人。」
一夫多妻制。
昔の日本はそうだ。
私の考えの中にそれはなかった。
時代が違えば結婚の形も違うもんね。
「夏希殿は結婚してるのか?」
幸村さんは私に聞く。
「してないよ。」
素っ気なく、そう答えた。
私はどんな答えを期待したのだろう。
もしいなかったらどうしてたの?
私は幸村さんを好きなの?
優とだってまだ別れてないじゃない。

私は最低だ。
優にも、幸村さんにも。
だけどもう自分の気持ちに嘘はつけない。
幸村さんといると、私は私で居られる気がする。
いつまでもこうしてたいと思う。
それはたぶん
"幸村さん"
だから。
あなたじゃなきゃダメなんだ。

言葉も交わさず
私たちはいつまでも夕陽に照らされる海を眺めていた。
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