朱
二章 自覚
――小学4年生の夏 父親を殺した。
僕は[父親だったモノ]をジッと見つめた。
人間ってこんなもろいんだ。
僕の手で殺した。
僕の手でも殺せた。
もう1回、あの赤が見たい。
どうしたら見れるか、
その方法を思いつくのは
簡単なことだった。
僕はお母さんの死体を 切った。
もう1回 もう1回 あの綺麗な赤を
美しい赤を見ようと
でも、もうだめだったみたいだ。