Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「……そんな大役、俺がしてもいいんですか?」
「オイオイ、充、それは今更だろうが。お前は遥の護衛をしてるんだぜ?それこそ大役だろ。十夜は信頼してる奴にしか頼まねぇよ」
「煌さん……」
そうだろ?とでも言いたげににやりと笑った煌に十夜は軽く頷き、充くんを真っ直ぐ見据えた。
「お前に二人を……この倉庫を任せてもいいか?」
そう静かに告げた十夜の声色は完全に充くんを信頼しきっていて。
充くんはその言葉にキュッと唇を噛み締めた後、震える声で「はい」と返事をした。
それを受け取った十夜は微かに頬を緩め、
「此処を頼む」
再度そう頼んだ。
「……で、俺等はアイツ等から電話がかかって来るのをボーッと待ってなきゃいけねぇのか?」
「いや、抗争の準備を進める。奴等の事だ。準備が終わり次第連絡が来るだろう。充から携帯の事を聞いた時点で貴音に電話しておいた」
「じゃあ獅鷹幹部は今此方に向かって──っ、」
彼方が喋っている途中、突如室内に鳴り響いたのは電話のコール音。
瞬時に表情を強張らせた彼方が直ぐ様十夜へと視線を走らせた。
彼方のただならぬ表情にこの部屋にいる全員が息を呑み、顔を見合わせる。
「俺の、です」
張り詰めた空気を静かに裂いた充くんが携帯を取り出し、視線を落とす。
次の瞬間、充くんの肩が微かに揺れ動いた。
「充」
「……非通知です」
「……っ、」
──奴等からだ。
規則的に鳴り続けているコール音に緊張感が高まり、ビリビリとした空気に室内が支配されていく。