Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
まさかこんなにも早く奴等から電話が来るなんて思ってもいなかった。
奴等はもう準備が整ったとでも言うのだろうか。
この短時間で?いや、まさかそんな……。
『──出たんなら“もしもし”ぐらい言えよ。“黒皇サン”?』
コトン、とローテーブルの真ん中に置かれた携帯電話。
そこから聞こえて来たのは数時間前に対面した“アイツ”の声。
Dのトップ、“シン”。
「舐めたマネしてくれたじゃねぇか、Dサンよぉ」
『……楠木か。鳳皇幹部勢揃いのようだな』
「まぁな。誰かサン達のお陰で」
『……ククッ、俺達からのプレゼントは気に入ってくれたか?』
「……っざけんじゃないわよ!何がプレゼントよ!よくも充くんをこんな目に合わせてくれたわね!」
小馬鹿にしたその声にカッと頭に血が上り、気付けば勢いよくテーブルを叩き付けていた。
許せない。
充くんをこんな目に合わせたコイツ等をどうしても許せない!
脳裏にこびりついているのは去り際に見せたアイツ等の顔。
余裕綽々なあの表情を思い出す度言い様のない怒りが込み上げてくる。
『東條 凛音、さっきぶりだな。ちゃんと報告出来たか?』
「……っ、」
コイツ……。
微かに聞こえてくるシンの笑い声。
その笑い声に顔の熱が上昇していく。
ムカツク……!!
込み上げてくる怒りに邪魔をされ、奴にぶつける言葉が何も出てこない。
脳内で渦巻くのは奴への怒り。
ただそれだけしかなかった。