Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
また貴兄に心配をかけてしまった。
ううん。貴兄だけじゃない。皆に心配をかけたんだ。
あたしの軽はずみな行動が皆を哀しませた。
「り──」
『へぇ。獅鷹もお出ましか』
「なっ!?」
貴兄が言葉を発しようとしたその時、まるで見計らったかの様に発せられた言葉。
その言葉に貴兄が目を見開かせる。
「お前等を潰す為に呼んだんだよ」
「……っ」
余裕綽々とでも言う様にその端整な顔を歪ませた煌。
その表情に貴兄は電話の主を察したのか、直ぐ様携帯に視線を落とし目を細めた。
『……へぇ。それは光栄だな』
クツクツと愉しげに発せられる笑い声に再び張り詰めていく空気。
「──お前がシンか」
威嚇するようにそう言い放ったのは貴兄だった。
貴兄は静かに足を踏み出すと、あたしと十夜が座っている二人掛けソファーの背後に立った。
そして、ふわり、あたしの頭頂部に手を置く。
「俺の可愛い弟と妹を苛めてくれた仕返しは抗争でキッチリと返させて貰う」
優しく撫でるその手とは裏腹に、発せられる声は恐ろしく低い。
けれど、シンはそれに対して少しも動じていなかった。
『怒るんならその可愛い弟と妹に怒れよ。勝手に来たのはそっちの方なんだからな』
「それでもお前等はコイツ等を傷付けた」
『……ハッ。どんだけ兄馬鹿なんだよお前』
シンは鼻で笑った後、馬鹿にする様にゲラゲラと下品に笑い出した。
それを聞いた嵐ちゃんが「テメェ!!」と声を張り上げる。