Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「十夜、遥香さんは?」
「今の所問題ない」
「……そっか。何も無ければいいんだけど……」
遥香さんはと言うと、実は今日、此処には来ない。
理由は“毎日鳳皇に来れない”と言った時と同じ理由で、家で習い事があるから。
十夜は遥香さんの事情を知っているから、それを聞いた時一つ返事で承諾した。
多分、此処に居るよりかは家で居る方が安全だと思ったのだろう。
けど、万が一の為、一人だけ護衛をつけておく事にした。
因みに、その護衛は充くんではない。
充くんは数十人を従え、此処であたしを護ってくれる事になっている。
「大丈夫だ。奴等も家の中までは乗り込んで行こうとはしない。 それに、奴等は遥香が家に居る事すら知らないだろうからな」
「……そうだよね」
十夜の言う通りだ。
奴等は遥香さんが家に居るという事を知らない。
だから狙われる心配は無いんだ。
「お前は一人で大丈夫か?」
「あたし?うん。あたしは一人で大丈夫だよ」
心配そうな表情であたしの顔を覗き込む十夜。
そんな十夜にコクン、と小さく頷くと、平気だからとでも言う様にニッと笑って見せた。
すると十夜はフッと笑みを零し、あたしの右肩を優しく抱き寄せる。
「何かあったら直ぐに充を呼べ」
そう耳元で囁いた十夜に「うん、分かった」と返事し、そっと右肩に頭を預ける。