Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
助けを求めに階段を駆け上がる一人の男。
残された者達は二人の総長が来るまで死に物狂いで凛音に立ち向かっていた。
彼等は知らない。
凛音をけしかけたのが自分達の仲間だという事を。
自分達の仲間が“白狼”を破滅の道へと導いたという事を、彼等は、知らない。
『総長!!』
そんな彼等が待ち侘びた者達が二階の廊下に姿を現した。
“総長”という言葉に反応した凛音は向かってきた男達の懐に蹴りを一発入れ、二階を見上げる。
『──居た』
見上げた先に居たのは、二人の男。
否、凛音が見ているのは前方に居る黒髪の男だけだった。
──間違いない。
あの男がこのチームの“総長”だ。
そう思った凛音は手の甲で額の汗を軽く拭い、地面を蹴り上げた。
『なっ……!?』
まさか走り出すとは思ってもいなかった男達は、凛音を止めようと咄嗟に手を伸ばす。
だが、簡単に掴まる凛音ではない。
凛音は軽やかな身のこなしで男達の間をすり抜け、一直線に階段を目指す。
『総長!!』
凛音の目当ては下っ端ではなく“総長”。
それを悟った下っ端達は河上に向かって口々に叫んだ。
けれど、凛音の目当ては“白狼総長”ではない。
『アンタが遊大を……!!』
凛音の目当ては黒髪の男、ただ一人。