Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】

『クッ……』


だが、凛音の強さに驚いているのは白狼達だけではなかった。


凛音と拳を交えている十夜もまた驚いていた。


こんなにも強い奴が獅鷹にいたのか、と。




獅鷹の強さは以前から知っていた。


“獅貴王”という異名を持つ獅鷹総長、“貴”。


彼は見る者全てを魅了し、引き寄せる。


その存在はまさに絶対的支配者。


優しさと残忍さを併せ持つ獅鷹総長の名は、十夜達がいる隣県に自然と届いていた。


けれど、名が届いていたのは獅貴王だけではなく、獅貴王に従えている幹部達の名も届いていた。


個々の力はまさに総長クラス。


“最強”を語るに相応しい者達。


故に、N県の族達の中ではこう言われていた。


“獅鷹と鳳皇の力は同等だ”と。



隣県だから良かったものの、同県だったら間違いなくこの二チームのトップ争いが繰り広げられていただろう。


もしかしたら勝負つかずのままトップ不在のいう状態だったかもしれない。


それほどまでに“獅鷹”というチームは強かった。


だからこんなにも強い奴がいてもオカシクはない。


十夜はそう思っていた。


けれど、この“侵入者”は見た事も無ければ聞いた事もなかった。


──最近入ったのか？


県のトップにともなれば小さな噂一つでも耳に入る。


だが、獅鷹にそんなに力ある者が入ったなどという噂は耳に入っていなかった。


にも関わらず、さっき“侵入者”はハッキリと“獅鷹を潰そうだなんて絶対に許さない”と言った。


ということは、“侵入者”は獅鷹メンバーに間違いないということになる。