Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
84.後悔と懺悔
───…
「……っ、」
「凛音?目、覚めたのか?」
「………」
「凛音?」
──思い出した。何もかも。
「……“あの人”が、十夜だったんだ」
“あの人”が、十夜だった。
なんで、忘れてたんだろう。
“あの時”も“今”も、身に纏うオーラは少しも変わらないのに。
「……っ、」
そっと目を開ければ、視界に入ったのは知らない天井。
その時になってようやく今自分が寝ていたことに気が付いた。
「気分、悪くないか?」
不意に落とされたその声にゆっくりと振り向けばすぐ傍にいたのは中田で。
「中田……」
あぁ、そう言えば中田と逃げたんだ。
まるで他人事のようにそう思った。
けれど、意識がハッキリしてくるにつれて沸々と沸き上がってくる罪悪感。
……あたしは、あの場所から逃げ出した。
十夜から、逃げ出した。
突きつけられた真実を受け止められなかったんだ。
「……っ、う……っ…」
迫り来る罪悪感に涙が溢れて止まらない。
「凛音……」
いつもの挑戦的な瞳とは違う、哀しみに満ちた中田の瞳があたしを真っ直ぐ見下ろしていて。
その瞳が、あの時聞いた事は全て事実だと言っていた。