Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「……此処は、どこ?」
少し落ち着きを取り戻したあたしは、ふと気になった事を聞いてみた。
寝室、だろうか。
白で統一されたその部屋は自分が寝ているベッドしか置いていない。
「此処は俺の隠れ家の一つだ。俺しか知らないから奴等に見つかる事はない」
奴等って……。
「……っ、ねぇ、あの後どうなったの!?鳳皇は!?獅鷹は!?奴等は……!?」
十夜達の事を思い出して、ベッドから飛び起きた。
馬鹿だ。何呑気に寝てるんだろう。寝てる場合じゃないのに。
あたしが意識を失ったのは鳳皇の溜まり場。
あたしは優や遊大、そして鳳皇の皆を置いてきてしまった。
いくら追い詰められていたからって何も言わずに去るなんて……。
「馬鹿だ……」
本当に、大馬鹿者だ。
あたしはどれだけ皆に迷惑をかければ済むんだろう。
「……凛音、やめろ」
力一杯握り締めたあたしの手を、中田がそっと解いてくれる。
開いた手のひらには真っ赤な爪痕。
それでもまだ足りなかった。
もっともっと傷付かなきゃいけない。
あたしがしてしまった事はこんなものじゃ消えない。
あたしの手は、汚れている。
愛する人をこの手で傷付けたのだから。