Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】

「お前の喧嘩スタイルは独特だからすぐに気付いた」


「喧嘩スタイル……」



そう言えば貴兄達に言われたことあったっけ。お前の喧嘩スタイルは変わってるって。



「あの男が女だって気付いた時、俺はお前の見る目が変わった。

利用するだけじゃなく、自分の女にしたいって本気で思った」


「……中田」


「だからボクシングを始めたんだ。桐谷からお前を奪う為に」


「………」



そう、だったんだ。


ずっと不思議に思っていた。

なんで中田があたしにこんなにも執着するのかって。



中田が鳳皇と獅鷹に敗れた時、中田に“あたしの闘う姿を見て手に入れたいと思った”って言われたけど、あの時はそんなに深く考えていなかった。


今思えば、あの言葉は“白狼”で暴れたあたしの事を言ってたんだね。


中田のあたしに対する執着の意味がやっと分かった気がした。




「一度目の抗争の時、言ってやろうかと思った」


「……一度目の抗争の時?」


「お前の兄貴が迎えに来た抗争だ」


「……っ、あの?」



貴兄が迎えに来た抗争。


それは、自分から貴兄を呼び寄せた“あの抗争”の事。



「お前を第二倉庫に連れて行った時、言い合ったのを覚えてないか?」


中田と言い合った?



「“お前はアイツの何を知ってる”」


「………」


「“お前は何も知らない。知らないから一緒に居られる”」


「……っ、…あ……」



言ってた。“あの時”だ。


中田が“鳳皇を潰す”と言ったあの時。


あたしは中田の言葉にカッとなって言い返した。



「“少なくともアンタより鳳皇の事を知ってる。あたしをアンタと一緒にしないで”」

< 273 / 460 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop