Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「お前の喧嘩スタイルは独特だからすぐに気付いた」
「喧嘩スタイル……」
そう言えば貴兄達に言われたことあったっけ。お前の喧嘩スタイルは変わってるって。
「あの男が女だって気付いた時、俺はお前の見る目が変わった。
利用するだけじゃなく、自分の女にしたいって本気で思った」
「……中田」
「だからボクシングを始めたんだ。桐谷からお前を奪う為に」
「………」
そう、だったんだ。
ずっと不思議に思っていた。
なんで中田があたしにこんなにも執着するのかって。
中田が鳳皇と獅鷹に敗れた時、中田に“あたしの闘う姿を見て手に入れたいと思った”って言われたけど、あの時はそんなに深く考えていなかった。
今思えば、あの言葉は“白狼”で暴れたあたしの事を言ってたんだね。
中田のあたしに対する執着の意味がやっと分かった気がした。
「一度目の抗争の時、言ってやろうかと思った」
「……一度目の抗争の時?」
「お前の兄貴が迎えに来た抗争だ」
「……っ、あの?」
貴兄が迎えに来た抗争。
それは、自分から貴兄を呼び寄せた“あの抗争”の事。
「お前を第二倉庫に連れて行った時、言い合ったのを覚えてないか?」
中田と言い合った?
「“お前はアイツの何を知ってる”」
「………」
「“お前は何も知らない。知らないから一緒に居られる”」
「……っ、…あ……」
言ってた。“あの時”だ。
中田が“鳳皇を潰す”と言ったあの時。
あたしは中田の言葉にカッとなって言い返した。
「“少なくともアンタより鳳皇の事を知ってる。あたしをアンタと一緒にしないで”」