Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「──何を考えてる?」
まるで心の内を覗かれていたかのようなその言葉にビクッと両肩が跳ね上がった。
顔を上げれば、先程とは正反対とも言える冷め切った瞳があたしを真っ直ぐ見据えていて。
気付いてる、と思った。
あたしが十夜と離れた方がいいんじゃないかって考えている事を。
あたしを見据える冷めた瞳が何よりの証拠だ。
「俺、言ったよな。“忘れるな”って」
「………」
「これから何があってもずっと変わらない。そう言ったのはお前だ」
「中田……」
「言ってないとは言わせないからな」
「……っ」
……そうだ。
あたしはあの時確かに言った。
“そんなにアイツが良いのか?”
“……うん。この世で一番”
“これから何があっても?”
“うん。ずっと変わらない”
確かに、そう言った。
十夜を世界で一番愛してるって。
もう離れないって。
そう誓った。
誓ったのに……。
「……っ、ごめ……」
あたしはまた十夜と離れる事を考えてしまった。