Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
それなのに、実際その時が来てみればそう簡単に事は運ばず、有利とされていた抗争は獣と化した黒皇に引っ繰り返されそうになっていた。
シンの計画では桐谷 十夜は知られたくないであろう真実を暴露され、精神的にダメージを受ける筈だった。
そして、その他の幹部達もまた知らなかった真実を突き付けられ、動揺する。
持っている力の半分も出せないまま潰れていき、鳳皇と獅鷹は全滅。
それがシンの“計画”だった。
けれど、実際の結末は違い、シンが望んだ計画は豹変した桐谷 十夜によって覆されてしまった。
結果、屈辱的な敗北を味わうことに。
計画なんて所詮想像でしかないもの。
思い通りにいく時もあればいかない時もある。
桐谷 十夜の精神力は、シンの想像力を超えていた。
けれど、それは桐谷 十夜だけに言える事ではなく、獅鷹、鳳皇両幹部達にも言える事だった。
彼等の頭の中にはショックをも凌駕する“ある想い”があった。
それは、“凛音の元へ行くこと”
凛音に逢いたい。
凛音に逢って強く抱き締めたい。
泣いているであろうその身体を力一杯抱き締めたい。
今の彼等の頭の中にはそれしかなかった。
凛音に逢いたい一心で前へと突き進み、敵を薙ぎ倒していく。
手加減なんて無用。
向かってくるものは全て敵。
そう言わんばかりに次々と敵を蹴散らしていく。
気迫負けした“D”は為す術もなく、仲間が殺られていくのを見ながら無謀な闘いを挑み続けることしか出来なかった。