Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
-客観的視点-
「壱、十夜は……」
「……ベッドに腰掛けたまま動かない」
「そうか……」
許された者しか入れない鳳皇の幹部室。
そこには、十夜と優音を除く九人の幹部達がいた。
ソファーに腰掛けている彼等は覇気が無く、絶望に満ちていて。
昨夜、十夜から聞いた真実を未だに引き摺ったままだった。
頭を抱える貴音の肩に手を添える慧。
普段テンションの高い嵐はソファーに仰向けになり、表情を悟られない様に右腕で両目を隠していた。
その隣にいる時人は必要以上にフーコとジュニアを撫で回し、煌、遊大、彼方は項垂れるように俯いている。
その中でただ一人、感情を露にしている者がいた。
「なんで……どうして凛音ばっかり……」
「陽……」
それは──陽。
“なんで”
“どうして”
壱に支えられ、まるで子供の様に泣きじゃくっている陽に誰も声を掛ける者はいない。
彼等も陽と同じ想いだったから。
ショックだった。
抗争で知らされた“真実”が。
十夜から聞いた“真実”が。
それによって凛音を傷付けてしまったことが。
抗争で負った怪我の痛みなど忘れるほど衝撃的で………哀しかった。