Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「でも、海が近いからそんなに遠くへは行ってないんじゃないかな」
「海?」
そう言えば海見えてたっけ。
「繁華街から海って近いんですか?」
「うーん……近いって言えば近いんだけど……どうだろう。多分、車で三十分ぐらいかな」
「三十分……微妙ですね」
「……微妙だよね」
繁華街から車で三十分。
それだけの距離があると流石に簡単には見つけられないだろう。
「大丈夫よ」
「え?」
クスリと余裕の笑みを見せる遥香さんに少しだけ首を傾げる。
何が大丈夫なんだろう?
どこからどう見てもヤバイ状況なのに。
「えっと、私の携帯、GPS機能付いてるんだよね。運転手の関さんも十夜もその事知ってるからすぐに追いかけてきてくれると思う」
「じ、GPS機能……?」
「ほら、私、家が家じゃない?」
「……あ」
そうだった。
遥香さん、超が付くお嬢様なんだった。
それだったらGPS機能付きの携帯持っててもおかしくないよね。
「……凛音ちゃん、ごめんね」
「え?」
「私が声掛けなきゃこんな事になってなかったのに……」
「……っ、違います!遥香さんのせいなんかじゃありません!」
「凛音ちゃん……」
「さらわれる可能性があるって事は分かってました。分かってておとりになったんです。
……でも、遥香さんは違う。遥香さんを巻き込んだのはあたしです。ごめんなさい!」
遥香さんは何も悪くない。
悪いのは全部あたしだ。