Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「……凛音ちゃん、十夜は抗争の前に全て凛音ちゃんに話そうとしていたのよ」
「……え?」
十夜が……?
「さっき鳳皇幹部にはリンくんの事言ってなかったって言ったよね?」
「……はい」
「でも、この抗争が始まる前にはもう幹部達は知ってたの」
「えっ」
「……っ」
驚いたのはあたしだけじゃなく隣にいた充くんも同じで。
あたしよりも驚いた顔で遥香さんを見ている。
「Dの正体を中田くんから聞いた時から十夜は悩んでたわ。
当然よね。白狼は遊大くんの件の当事者だもの。いつ凛音ちゃんの耳に入るか分からない」
「………」
「最悪バレたとしても、それは遊大くんの件に鳳皇が関わってた事だけで傷の事はバレない。Dはリンくんが凛音ちゃんだと知らないし、獅鷹も怪我した事を知らないから」
「………」
「……けど、それでも十夜は皆に打ち明ける事を決めた」
「……っ、なんで……」
「凛音ちゃんに隠し事をしたくないから」
「……え?」
あたしに?
「十夜には耐えられなかったのよ。他人から真実を聞かされて泣いている凛音ちゃんを見るのが」
「……っ」
それって……もしかして、あの時の事……?
遥香さんが言ってるのは、優音が迎えにきたあの時の事だ。
だって十夜、言ってたから。
“俺が全部話していればお前がこんな目に合う事はなかった”
“もう隠し事はしない”
そう言ってくれた。