Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
『いや、攻撃してきたのは智広じゃない。別の奴だ』
「別の奴って……」
一体誰!?幹部!?
『誰かは分かんねぇけど、俺等だって知ってて攻撃してきたって事はお前達の身が危ない』
「……っ」
確かに、十夜の言う通りかもしれない。
Dは自分達から連絡しない限り鳳皇は来ないと思っていた筈だ。それなのに、十夜達は此処へ向かっている。
それがどういう意味かは、考えたら直ぐに分かるだろう。
となれば、奴等は人質を渡すまいと真っ先にあたし達の元へとやって来るに違いない。
『Dは獅鷹に任せる』
「え、貴兄に?」
『あぁ。俺はお前の所へ行く』
……っ、十夜……。
決意が感じられるその力強い声に、逢いたいという気持ちが一層強くなった。
早く十夜に逢いたい。
逢って直接十夜の声が聴きたい。
力一杯抱き締めて欲しい。
十夜への感情が増長して止まらない。
『邪魔されて遠回りしたが、もうすぐお前等が居るビルに着く』
「……うん」
「桐谷さん、智広が連絡してきた理由はなんですか!?」
突然割って入ってきたその切迫した声に、今の今まであたしの中を支配していた甘い感情が一蹴された。
鬼気迫る充くんの目は、どう見ても機械に向けるものじゃない。