Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「凛音ちゃん……っ!!」
来ないで遥香さん!!
唯一動かせる首を使って、こっちに来ようとする遥香さんを制止させる。
それを見た遥香さんは嫌だと涙目で訴えてくるけれど、あたしはそれも顔を逸らして拒否した。
「やだっ!凛音ちゃん……!!」
充くんが無理矢理遥香さんを連れて行く。
あたしはそれを見届けた後、力尽きたかのように顔を伏せた。
……これでいい。これでいいんだ。
三人全員捕まるよりずっといい。
「行くぞ」
フンッと鼻を鳴らしたシンが、下っ端にそう命令する。
男達はその命令に従ってあたしを担ごうとしたけれど、それは“ある声”によって阻まれてしまった。
「……チッ」
その声は、あたしが待ち望んでいた人の声。
「んんっ!!」
間違いない。この声は十夜だ。
逢いたいと心から望んでいた人の声を、あたしが聞き間違える訳がない。
「んー!!」
直ぐそこに十夜が居る。
それは、諦めかけていたあたしの心に火をつけた。
動かない手足必死に動かして抵抗する。
「凛音!!」
その声に弾かれたように顔を上げれば、あたしに向かって手を伸ばす十夜の姿が目に飛び込んできて。
「んー!!」
真っ直ぐ伸ばされたその手に、今まで堪えてきた様々な感情が爆発した。