Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
目の前に居るのは逢いたいと願った人。
もう逢えないと思っていた人。
その人が、目の前に居る。
それなのに、このまま大人しく連れて行かれる訳にはいかない。
「んー!!」
縛られてる手足が傷まみれになったとしても、抵抗し続けてやる。
「──チッ。コイツは俺が連れて行く。お前等は桐谷を潰せ!」
あたしの首根っこを掴み、力任せに地面へと叩きつけたシンが下っ端にそう命令した。
下っ端達も鳳皇の方が厄介だと察したのか、あたしから手を離し、十夜に向かって走って行く。
十夜との距離は十メートル程。
あたしが居るこの場所は人通りが少ないけど、十夜が居る場所は車も通るメイン道路だから通行人が居た。
そんな中で喧嘩なんか出来る筈もなく、十夜は向かってくる拳を受け流す事しか出来ない。
「じゃあ港で待ってるぜ」
「んんー!」
この場所を選んだ事がまるで計算の内とでも言いたげにほくそ笑んだシンは、あたしを担ぎ、その場から立ち去ろうとした。
けれど、それもある人の手によって阻止されてしまう。
「──テメェ、俺の親友に何してくれてんだよ」
そう言ってシンの腹部に蹴りを入れたのは、鳳皇の幹部である陽と、
「りっちゃんを傷付けた罪は重いからな」
珍しくブラックな彼方だった。