Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「凛音、助けに来たぜ!」
……っ、あき……っ。
「ったく、俺のりっちゃんにこんなの貼りやがって。可愛い顔が見えねぇじゃんか」
彼方……。
──変わらない。
悪戯っ子のように口端を上げて笑う陽も、変態丸出しであたしを抱き締める彼方も。真実を知る前と何も変わらない。
あたしが知っている二人のままだ。
「ありがとう……っ」
テープが剥がされて一番初めに出た言葉は、謝罪の言葉じゃなく感謝の言葉だった。
だってもう、この言葉以外見つからない。
感謝の言葉しか出てこない。
「りっちゃん、一緒に帰ろう」
「……っ、うんっ!」
ぎゅうっと強く抱き締められて、頭を撫でられる。
それが堪らなく嬉しくて、浮かんでいた涙がぽろぽろと零れ落ちた。
皆と一緒に帰れる。
そう安堵したのも束の間、
「彼方!!」
陽の叫び声が木霊した。
「……っ」
彼方越しに伝わった衝撃。
それは、あたし達が倒れるのに十分な衝撃で。
傾いた瞬間地面に打ち付けられる事を覚悟したけれど、あたしを抱き締めていた彼方が身体を半回転させてそれを阻止してくれた。