Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「いっ……!」
彼方の腕の中から転がり落ちて、地面に投げ出される。
けど、今は自分の事よりも庇ってくれた彼方の方が気になって、ぐったりと横たわっている彼方を見上げた。
「彼方!目を開けてよ!彼方!」
何度も呼びかけるけど、いくら呼んでも彼方からの返答はない。
もしかして、身体だけじゃなく頭も打ってる?
「彼方!かな──」
「凛音!!」
「……っ」
陽の叫び声がしたかと思ったら、突然ふわりと浮いた身体。
直ぐにDの仕業だと気付いたけれど、縛られたままの状態じゃどうする事も出来なくて、あっという間に肩に担がれてしまった。
「……っ、やだっ!彼方!!」
次第に遠ざかっていく彼方の姿。
手を伸ばしたいのに、縛られているせいでそれも叶わない。
「離して!!……っ、離せ!!」
必死に叫んで止まるよう促すけれど当然聞き入れてくれる筈もなく。
小さくなっていく彼方の姿に悔し涙がぽろぽろと落ちていく。
「テメェ、凛音を離せや!!」
陽……っ。
敵を払い除けてあたしの元へ来ようとする陽。
けど、敵が多すぎてなかなか近付けない。
そんな時、新たな声が耳に届いた。
「十夜!煌!」
それは、十夜と煌の声。
けれど、担がれているせいで振り向く事も出来なくて。
「離せっ!!」
必死に抵抗を続ける。