Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「フッ。諦めるんだな。テメェはもう逃げらんねぇ」
「……っ、なんで此処に……」
目の前に現れたのは、陽に蹴り飛ばされた筈のシン。
なんで此処にいるのか不思議に思ったけど、それは考えれば直ぐに分かる事だった。
鳳皇幹部はみんなDの下っ端に足止めを食らっている。
シンからすれば、ここまで来る事なんか容易い事だ。
「離せ!!」
「離す訳ねぇだろ」
「やだっ!」
折角シンから逃げ出せたかと思ったのにまた捕まるなんて……。
「大人しくしてろよ」
身体が宙に浮いて、乱暴に放り投げられる。
受け止めたのは固い地面ではなく、柔らかいクッションで。それが車の座席だと気付いた時には後部座席のドアは閉められていた。
「凛音!!」
窓一枚隔てた向こう側から聞こえた十夜の声。
「十夜!!」
急いで身体を起こせば窓越しに十夜が見えて、少しでも近付こうと窓に額をぶつけて思いっきり叫んだ。
だけど、どんなに叫んでも十夜との距離は埋まらない。
「止めて!下ろしてよ!!」
「五月蠅い、黙ってろ!」
運転席に乗ったシンがエンジンをかける。