Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
────…
「はぁ……」
あれから一体どれだけの時間が経ったのだろうか。
十五分?二十分?
ううん。もしかしたら十分も経っていないのかもしれない。
今、どういう状況なのか知りたいけれど、聞ける人と言えば倉庫の出入口の居る人だけで、距離的に気軽に聞けそうにない。
かと言って、叫ぶのも面倒臭いし……。
「十夜……」
仕方なく諦めて寝返りを打つ。
反対を向けば、埃を被った木材が目に入って、その周りには使い物にはならないであろう机らしきものが幾つか乱雑に置いてあった。
目の前にある木材や机もそうだけど、全体的に壁が錆びていて、所々穴も開いている。恐らく普段は使用されていないのだろう。
「ハッ」
これだけボロければ楽に逃げ出せるのに。
「悔しいっ」
何も出来ない自分が恨めしくて涙が出てくる。
「十夜……」
涙混じりに十夜の名前を口にした時、
「オイッ!女を連れて出ろっ!!」
飛び込む様な形で一人の男が倉庫に飛び込んできた。
「早くしろ!!」
「は、はい!」
呼吸を整えないまま見張りの男に詰め寄っていく金髪の男。
詰め寄られた方は訳が分からないまま素直に従うしかなく、慌ててあたしの方へと駆け寄って来た。
「ちょっ……!」
いくら慌ててるからって、そんな体当たりしてこなくてもいいのに!
まるで猪のように体当たりしてきた男に乱暴に担がれて、そのまま倉庫から連れ出されてしまう。