Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「嵐ちゃん!下ろして!」
地味にコワイんですけど!
「あぁ?助けに来たのに文句言うなよ」
「ぅわっ!」
服をムギュッと掴まれたかと思ったら、力任せに男から引き離されて。その後、ボールを投げるみたいにポイッと軽く放り投げられた。
「ちょっ……!」
有り得ないんですけど!!
雑な扱いはいつもの事だけど、まさかこんな非常事態に放り投げられるなんて……。
このままいけば、確実に地面に叩きつけられてしまう。
それが分かっているのに、手足を縛られたこの状態じゃ受け身を取る事すら出来ない。
くそー、嵐ちゃん、後で覚えてろよ!!
叩きつけられるのを覚悟して、ギュッと強く目を瞑る。
──と、その時。
「凛音ちゃん!!」
聞き覚えのある声がすぐ近くから聞こえてきた。
え!?この声って慧くん!?
その声が獅鷹副総長である慧くんのものだとすぐに気付いたけれど、放り投げられたこの状態じゃどうする事も出来なくて。
「っっ」
次の瞬間には、強い衝撃に襲われていた。
けれど、その衝撃は思っていたよりも全然弱くて。直ぐに目を開ければ、目の前には何故か慧くんのドアップがあった。
「凛音ちゃん大丈夫!?」
「け、け……」
お兄ちゃん的存在だと言ってもイケメンな事には変わりなく。至近距離で拝めば、“慧くん”という簡単な単語さえ紡ぐのが難しくなる。