Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「テメェ、ぶっ殺すぞ!!」
殴られた直後、緊迫したその場に響いたのは優音の怒声。
それは地鳴りの様に低く、未だかつて聞いた事のない声色だった。
空気越しに伝わってくる優音の怒り。
言葉が言葉なだけに少し身震いする。
チラッと声がした方へ視線を走らせれば、下っ端達が必死に優音を押さえ込んでいるのが見え、そんな優音を見ても幹部達は表情一つ崩していない。
「……アイツ、お前の事大好きなんだな」
チラリと横目で優音を見たシンが茶化す様にそう零し、笑う。
その言葉と笑みにキュッと目が細まった。
「そんな睨むなよ。これ以上は何もしねぇからさ」
何も、しない……?
向けられた微笑みはさっきと変わらず胡散臭く、シンの真意が全く読み取れなかった。
ただ顔を顰める事しか出来ないあたしはグッと言葉を詰まらせると下唇を噛み締め、更に目を細めてシンを睨み付ける。
だが、シンは怖気づくどころか余裕の笑みを浮かべ、徐にあたしから目を逸らした。
シンが目を向けたのは数人の下っ端達の方で、その下っ端達に向かって顎をしゃくり、此方へと来いと呼び寄せる。
「……っ、何す──」
「凛音!!」
直ぐ様近寄ってきた下っ端達は聞かなくても解っているのか、あたしの腕を素早く取り拘束した。