Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「十夜、」
「大丈夫だ」
「でも──」
「動けてるんだから問題ねぇ」
「いやいや、あんだけ派手に轢かれといて大丈夫な訳ねぇだろ。骨逝ってんぞソレ」
「……っ、煌!」
「馬鹿凛音。心配させんじゃねぇよ」
「いたっ」
輪に入って来たのは相変わらずな煌で。
傍に来たかと思えば、ゴンッと一発ゲンコツをお見舞いされた。
「ごめん……」
これが煌の優しさだって事は分かってる。
だって、前の時もそうだったから。
「バーカ」
あの時もこんな風に嬉しそうに笑ってくれた。
「十夜、そろそろアイツ等にも回してやれよ。さっきからずっと待ってんだよ」
ずっと、待ってる?
後ろを指差す煌に何だろうと視線を滑らせれば、煌の後ろから何かが飛び出してきた。
「凛音!!」
「……えっ!?」
この声は、陽?
飛び出してくるなり抱き着かれたものだから最初誰なのか分からなくて。でも、耳元であたしを呼んだから直ぐに陽だと気付いた。
「陽、」
「凛音の馬鹿やろー!心配ばっかかけんな!」
「……うん。ごめんね」
「どんだけ心配したか分かってんのか!」
「うん。ほんとごめん」
「……っ、う~っ、凛音、無事で良かったっ」
「……ごめん。ごめんね、陽」
本当にごめん。
心配ばかりかけてごめんね。