Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
勿論抵抗はしたけれど所詮あたしは女。
一人ならまだしも片腕に一人ずつだなんてどうやっても無理だ。男の力には敵わない。
ガッチリと拘束されたのを確認したシンはあたしの首から手を離し、「疲れたー」と言ってこれ見よがしに手を振って見せた。
その馬鹿にした態度がまたイラつかせる。
「おーコワイコワイ」
感情が隠しきれないあたしはさぞかし怖い顔をしているのだろう。自覚はある。
っていうか、隠す必要なんてない。
「可哀想だな、東條 凛音。何の手柄も立てられなくて」
「………」
「俺達を捕まえる事も出来ず、得られた情報は俺達の“正体”だけ」
シンの表情はもうこの状況が愉しくて仕方が無いと言っていた。
余裕しか感じられないその物言いと勝ち誇った顔があたしの感情をこれでもかと言う程煽る。
ムカついて仕方ない。
「正体が分かっただけで十分だし!」
以前奴等と関わりがあった。
それは手掛かりへの道標。
十夜達に伝えれば何か突破口が開くかもしれない。
「……クッ。…ククク……」
……なに?
突然肩を震わせて笑い出したシン。
その姿を見て嫌な予感がした。
ゴクリ、喉が鳴る。
「良い事教えてやるよ」
そう言った後、にやりと妖艶な笑みを浮かべながらシンがこちらへとゆっくり歩みを進める。
「テメェ、凛音に近付くんじゃねぇ!!」