Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】

も、もしかしてさっきの会話聞いてたの!?


壱さんとの会話をバッチリ聞いていたらしい十夜サン。


そうだよね!こういう時いつも狸寝入りしてたもんね!なんで忘れてたんだろう。馬鹿だ、あたし!



「なに百面相してんだよ」

「べ、別に百面相なんか……!」



そりゃ百面相するでしょ!こんな体勢なんだから!


十夜に腕を引かれたせいで前のめりに倒れたあたしは、分かりやすく言えば十夜に覆い被さっていて。

だけど、寸での所でソファーの淵を掴んだから完全には覆い被さっていない。


それでも、十夜との距離は目と鼻の先で。


「ッッ」


十夜の指先が右頬に触れた時にはもう、心臓はバクバクというか、今にも爆発しそうだった。



「いつになったら慣れんだよ」


な、慣れる訳ないでしょーが!!


あたしを見上げるその余裕綽々の顔が恨めしくて、口尖らせて睨み付けるけど、そんな顔さえも十夜には面白いらしく、あたしの頬を抓ったり突ついたりして遊んでいる。


「………」


されるがままになっているのは、面白がっていても十夜が触れてくれるのが嬉しいから。


今だったら、何をされても許してしまうかもしれない。


……けど、



「で?入んの?入らねぇの?」



これだけは許せません!
絶対に無理!!

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