Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】


「ひ、一人で入ってくる!!」


軽く十夜を突き飛ばし、足元に散らばっている着替えを素早く拾って脱衣所に駆け込む。


し、心臓に悪すぎる……!!


ドアを背にズルズルとしゃがみ込んだあたしの顔は、きっと恥ずかしいぐらい真っ赤に違いない。


「顔、熱い……」


両頬を手で覆って膝に顔を埋めれば、直ぐに浮かんでくる十夜の顔。


あの漆黒の瞳に見つめられると否応無しに心臓が波打って、ドキドキなんて言葉じゃ済まされないぐらい胸が高鳴る。


それと同時にぎゅうっと締め付けられる様に苦しくなって。これはもう、一種の病気かもしれない。



「慣れる訳、ないじゃない。馬鹿」


呟くように吐き出されたその言葉は、あたしだけに届いて消えた。

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