Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「さっき俺達のアジトが幾つもあるって言ったよな?それをアイツは知っていた」
シンの視線が指したのは未だ拘束されたままの優音。
優音はあたし達の声が聞こえていないのか、怪訝な顔で此方を見ていた。
「アジトが数箇所あるという事を知っているのは中田だけだ。いつ鳳皇に言ったのかは知らねぇが、アイツのさっきの反応からして鳳皇が知っているのは間違いない」
「………」
「それと獅鷹も、な」
獅鷹も……?
ニッと笑ったシンに反して、顔を歪める。
……確かに、シンの言う通りだ。
優音が知っているという事は貴兄達も知っているという事になる。
「俺達“D”が鳳皇の元傘下だったという事もアジトを教えた時に一緒に話したんだろう」
「……中田もアンタ達が元傘下だったって事知ってたの?」
「あぁ。中田とは鳳皇の傘下の頃からの知り合いだからな」
シンの瞳が言ってる。
“お前は本当に鳳凰妃なのか?”と。
「それでもまだ鳳凰妃だなんて言えんの?」
残酷に現実を突き付け。
「俺なら口が裂けても言えねぇな」
まるで凶器の様に容赦なく。
「でもまぁ、神経図太そうだし?そんな事気になんねぇか」
ブスブスと確実にあたしの急所を仕留め、思いっきり傷口を抉る。
「………」
──あたしはもう、シンの言葉に何も言い返す事が出来なかった。
ううん、何を言い返せばいいのか分からなかった。