Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「……馬鹿が。しねぇ訳ねぇだろ」
ぎゅっと頭を引き寄せられて、もっと十夜の心臓の音が近くなる。
トクトクトク……。
この音はあたしの為に奏でられている。
そう思ったら嬉しくて。
「十夜、大好き」
普段なら恥ずかしくて出来ない事も、こんなに簡単に出来てしまう。
「……もっとしろよ」
あたしからしたキスは、触れるだけのライトキス。
要望通り、もう一回ちゅっとキスをして、その後はいつも十夜がしてくれるみたいに顔中にキスを降らせた。
「くすぐってぇ」
「え、くすぐったい?気持ち良くない?」
「……気持ち良くないってお前、」
「ん?」
フイッと顔を逸らした十夜に首を傾げれば、また頭を胸に押し付けられて、次の瞬間にはお互いの位置が入れ替わていた。
「くすぐったい」
十夜のサラサラの前髪が目にかかってくすぐったい。
指先でそれをそっと避ければ、前髪で隠れていた漆黒の瞳が現れて。
その瞳と目が合った瞬間、一瞬息が止まった。
さっきまで笑っていたのがまるで嘘のような真剣な瞳。
馬鹿なあたしでもこの後どうなるのか予想出来た。
ゆっくりと近付いてくる十夜の頬に右手を添えて、左腕を首に巻き付ける。そうすれば、グンと距離が近付いて、あとは唇が触れるだけ。
けど、そこは意地悪な十夜が顔を出して、数センチ先で止まったままあたしを焦らした。
触れる吐息にまた鼓動が速くなって、喉奥でゴクリと音が鳴る。
そんなあたしを見透かしたかの様に口端を持ち上げた十夜は、
「──お前以上に大事なものなんてない」
そう小さく囁いた後、そっとあたしに口づけた。
ぎゅっと頭を引き寄せられて、もっと十夜の心臓の音が近くなる。
トクトクトク……。
この音はあたしの為に奏でられている。
そう思ったら嬉しくて。
「十夜、大好き」
普段なら恥ずかしくて出来ない事も、こんなに簡単に出来てしまう。
「……もっとしろよ」
あたしからしたキスは、触れるだけのライトキス。
要望通り、もう一回ちゅっとキスをして、その後はいつも十夜がしてくれるみたいに顔中にキスを降らせた。
「くすぐってぇ」
「え、くすぐったい?気持ち良くない?」
「……気持ち良くないってお前、」
「ん?」
フイッと顔を逸らした十夜に首を傾げれば、また頭を胸に押し付けられて、次の瞬間にはお互いの位置が入れ替わていた。
「くすぐったい」
十夜のサラサラの前髪が目にかかってくすぐったい。
指先でそれをそっと避ければ、前髪で隠れていた漆黒の瞳が現れて。
その瞳と目が合った瞬間、一瞬息が止まった。
さっきまで笑っていたのがまるで嘘のような真剣な瞳。
馬鹿なあたしでもこの後どうなるのか予想出来た。
ゆっくりと近付いてくる十夜の頬に右手を添えて、左腕を首に巻き付ける。そうすれば、グンと距離が近付いて、あとは唇が触れるだけ。
けど、そこは意地悪な十夜が顔を出して、数センチ先で止まったままあたしを焦らした。
触れる吐息にまた鼓動が速くなって、喉奥でゴクリと音が鳴る。
そんなあたしを見透かしたかの様に口端を持ち上げた十夜は、
「──お前以上に大事なものなんてない」
そう小さく囁いた後、そっとあたしに口づけた。