Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
あたしだけが知らなかった……?
それって遥香さんは?
遥香さんも知ってたの?
だとしたら、それが意味するモノは?
……解らない。
解りたくない。考えたくない。
だって、考えたら“答え”が出てしまう。
必死で護ってきた自分が否定されてしまう。
“お前じゃない”と。
“鳳凰妃はお前じゃない”と。
否定されてしまう。
そんなの嫌だ。嫌だよ。
「まぁ、帰って奴等に聞いてみな。俺の言った事が本当かどうか分かるだろ」
“真実”なんて、知りたくない。
自分の意思に反してじんわりと熱くなっていく目頭。
次第に視界がぼやけ、ゆらゆらと揺れ始める。
泣きたくなんかないのに。
コイツの前でなんか泣きたくないのに。
大波の様に押し寄せてくる感情が胸底から涙を呼び寄せる。
震える唇を血が出る程強く噛み締め、瞬きを何度も繰り返して必死に涙を塞き止めた。
「──ククッ。その瞳、気に入った」
睨み付けるあたしを見て何故か満足げに笑ったシン。
シンは軽やかな足取りで身体の向きを変えると、
「奴等に“準備して待ってろ”と伝えとけ」
そう言って笑みを一つ零し、右手を上げて歩き出した。
「……っ、待ちなさいよ!シン!!」
それを直ぐ様引き止める。
言い逃げなんて許さない!
っていうか、逃げるなんて絶対に許さない!