Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「ほら、早く行かなきゃ!」
スクッと立ち上がって十夜の腕を引こうと手を伸ばせば、何故か逆に腕を引っ張られて、また口を塞がれてしまう。
「んんっ!」
ちょ、だからなんで今キスするの!?
「ちょ、十夜!!」
「絶対に護ってやる」
……え?
「それ、どういう意味?ねぇ!ちょっと十夜!」
離してくれたと思ったら、急に立ち上がってスタスタと歩き出した十夜。当然腕は引かれていて、コンパスの長さが違うせいで小走り気味になる。
玄関を出て廊下に出れば、
「えっ!?」
目に飛び込んできたのは、一階いっぱいに埋め尽くされた沢山の人だった。
「え、何?どういう事?何かあったの?」
そう問い掛けてみても十夜は応えるところか振り返ってもくれず、ただ階段に向かって歩いて行くだけ。
歩きながらもう一度一階を見下ろせば、皆あたしを見て笑っていた。中には手を振ってる人もいて、取り敢えずヒラヒラと手を振り返しておく。
「おせぇぞお前等」
「えっ!?」
なんで貴兄達が居るの!?