Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
けど、やるしかなかった。
コイツ等を倒して、一人でもいいから鳳皇に連れていく。
奴等が向かったのはきっと十夜達が知らないアジトだ。
奴等は抜かりない。
中田が鳳皇に告げ口している事も知っていた。
馬鹿じゃない限り、中田の知っているアジトには潜伏していないだろう。
その証拠に、奴等のアジトを知っているにも関わらず十夜達は“D”を捕まえられていない。
奴等は十夜達の知らないアジトにいる。
そして、それを此処にいる下っ端達は知っている。
だから、捕まえて鳳皇へ連れていく。
そう思っていたのに。
「なっ……!?」
突如外された拘束。
振り切る様にして離されたそれにただ目を見開く事しか出来ず、反応が遅れた。
けど、直ぐに正気に戻り、直ぐ様足を踏み出す。
「アンタ等逃げんじゃないわよ!」
だが既に遅く、男達はビルを曲がり、あっという間に消えていった。
それでも追い掛ける事を諦めない。
「テメェ等待ちやがれ!」
真横から聞こえてきたその声に振り向けば、あたし同様優音も下っ端達を追い掛けていて。
それを見て、奴等が逃げる事は事前から決まっていたのだと察した。
本当に抜かりない奴等だ。
とことん尻尾を掴ませないつもりらしい。
「優!」
「凛音、お前はそっちから回れ!」
「分かった!」
目配せをし、コクリと頷き合うと優音の指示通りビルの反対側へと回る。
と、その時、聞こえてきたのは凄まじい爆音。
それがバイクのエンジン音だと気付いた時には既に遅く。
「……っ、危なっ!」
何台ものバイクが目前を通り過ぎていった。
「やられたっ!!」
まさかバイクを隠していたなんて。