Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
貴兄と優音を傷付けて、鳳皇の皆には何も話さずに逃げ出した。
今振り返っても最低な事をしたと思う。
しかも十夜とはその後何度も再会して、その度拒絶して。最低なんて言葉では済まされない事を沢山した。
それなのに十夜は諦めないでくれた。
bladeとの抗争が片付いて鳳皇に戻った時のあの感動は一生忘れない。
「十夜、あたしの事好きになってくれてありがとね」
「……何だよいきなり」
「んー、皆と一緒に居られるのは全部十夜のおかげだなって思ったから」
「………」
「十夜が迎えにきてくれたからだよ」
眉間に皺を寄せた十夜にクスッと笑って、そう付け足す。
笑みを浮かべたまま皆へと視線を戻せば、貴兄が嵐ちゃんに向かってタックルをしているのが見えた。
当然筋肉の塊に適う訳がなく、貴兄は総長らしからぬ格好で吹っ飛ばされている。
それを見ていたメンバー達は両手を振り回して楽しそうに笑っていた。