Ri.Night Ⅴ ~Final~【全完結】
「凛音!!」
「優音……」
反対側から回った優音が一周してあたしの元へと走ってきた。
「……やられたな」
「まんまとね」
悔しげに舌打ちをする優音の手を掬い取り握り締めると、優音があたしを見下ろしキュッと眉を引き寄せた。
「……痛ぇか?」
「大丈夫。ちょっと口の中が切れただけ」
「チッ。アイツ、次会ったらぶん殴ってやる」
あたしの左頬に手を添えながら闘志を燃やす優音。
そんな優音に小さく苦笑した後、
「優音、あたし鳳皇に行く。優音は獅鷹で用事があるんだよね?」
そう問い掛けた。
「あるけど……なんで今なんだよ?」
「聞きたい事があるの」
「聞きたい事?」
そう聞きたい事。
なんであたしだけ知らされなかったのか。
もしかしたら何か理由があるのかもしれない。
さっきは突然知らされて頭が混乱したけど、よく考えればオカシイ事だらけだった。
だって、“D”が鳳皇の元傘下だったなんてあたしに隠す必要ない。
そりゃ驚きはするけど、元傘下だと分かったところで特別何とも思わないし。
何か鳳皇を恨む理由があるのかな、と少し勘繰るかもしれないけど。
それに、アジトが幾つもあったとしてもあたしがどうこうする訳じゃない。
それを考えると、なんであたしにだけ言わなかったのか不思議で堪らなかった。
あたしだけ知る必要がなかった?
何故?
分からない。
分からないから十夜達に聞くしかないんだ。