10年前の約束。
「じゃあ弾くね。」
大貴くんはそう言って弾き始めた。
……………でも、やっぱり違う。
私はやっぱりこの人の演奏には惹き付けられない。
淡々と聴いてしまうんだ。
インパクトが足りない。
この弾いてるときの表情はそっくりなんだ。
そして弾き終えた時の微笑む顔も
お兄ちゃんにそっくりなんだ。
「ありがと。やっぱり上手だね。」
「ありがと。」
……………やっぱり腕が落ちただけ、なのかな…。