10年前の約束。
あれは10年前の秋………
7歳の頃、右足を骨折して私は入院していた。
そこに入院していた年上のお兄ちゃんは、毎日私にピアノ弾いてくれた。
「お兄ちゃん!」
「あ、凛音ちゃん。今日も来たんだね。」
「今日もピアノ弾いて!わんちゃんの!」
「子犬のワルツだって。」
そういって、私にいつもピアノを聴かせてくれた。
お兄ちゃんはピアノがとっても上手で、私がピアノを始めたきっかけだ。
「お兄ちゃん、私楽譜読めることになったよ。」
「凛音ちゃんは覚えるのが早いね。
簡単な曲ならもう弾けるしね。」
「お兄ちゃんの教え方が上手だからだよ!」
私はお兄ちゃんが大好きだった。
お兄ちゃんに会えるのが嬉しくて、お兄ちゃんのピアノが大好きで……
退屈な入院生活の楽しみだった。