俺様黒王子とニセ恋!?契約
「……澪」
こんなに戸惑った篤樹の声は初めてかもしれない。
なんだかこの短い時間で、篤樹のことをたくさん知った。
正直なところ、私の気持ちは飽和状態で、しっかり消化出来ていない。
自分からこんなことをしでかすくらい、理性が壊れてるのかもしれない。
だけど。
「私は逃げない。逃げてるのは、篤樹の方だよ」
怯まず、まっすぐ、ぶれないように、私は篤樹の瞳を見つめた。
篤樹の腕に手を置いて、そのままギュッと力を込める。
「高校生の頃の私じゃない。篤樹が大事にしてた彼女ほど、私は弱くないから。何があっても、篤樹のそばにいるからっ……」
感情を表す日本語が、もっとたくさんあればいいと思った。
私が今抱える篤樹への全ての想いを、目に見える形にして届けられたらいいのに。
お願い。伝わって。
お願い、通じて……!
心の中で、必死に祈る。
篤樹の腕にかけた手が、やるせなく震えた。
けれど、篤樹は自分の腕から私の手を離させると、何も言ってくれないまま、私に背を向けた。
そして今度こそ、まっすぐドアに向かって歩いていく。
呼び止めることを憚ってしまう、絶対的な拒否の空気を纏って。
バタンと音を立ててドアが閉まった。
一人会議室に取り残されて、私は唇を噛んで俯く。
明るく降り注ぐ太陽の光が、とても皮肉に思えた。
ぶつかったのに。
逃げなかったのに。
同じ会社の社員というだけで、篤樹への想いは遮断されて、その先に進めない。
こんなに戸惑った篤樹の声は初めてかもしれない。
なんだかこの短い時間で、篤樹のことをたくさん知った。
正直なところ、私の気持ちは飽和状態で、しっかり消化出来ていない。
自分からこんなことをしでかすくらい、理性が壊れてるのかもしれない。
だけど。
「私は逃げない。逃げてるのは、篤樹の方だよ」
怯まず、まっすぐ、ぶれないように、私は篤樹の瞳を見つめた。
篤樹の腕に手を置いて、そのままギュッと力を込める。
「高校生の頃の私じゃない。篤樹が大事にしてた彼女ほど、私は弱くないから。何があっても、篤樹のそばにいるからっ……」
感情を表す日本語が、もっとたくさんあればいいと思った。
私が今抱える篤樹への全ての想いを、目に見える形にして届けられたらいいのに。
お願い。伝わって。
お願い、通じて……!
心の中で、必死に祈る。
篤樹の腕にかけた手が、やるせなく震えた。
けれど、篤樹は自分の腕から私の手を離させると、何も言ってくれないまま、私に背を向けた。
そして今度こそ、まっすぐドアに向かって歩いていく。
呼び止めることを憚ってしまう、絶対的な拒否の空気を纏って。
バタンと音を立ててドアが閉まった。
一人会議室に取り残されて、私は唇を噛んで俯く。
明るく降り注ぐ太陽の光が、とても皮肉に思えた。
ぶつかったのに。
逃げなかったのに。
同じ会社の社員というだけで、篤樹への想いは遮断されて、その先に進めない。