俺様黒王子とニセ恋!?契約
イベントまで一週間を切った。
オフィスビルの倉庫に必要な備品の搬入が始まり、会場設営に就く私と金子さんは、自分のデスクについていることが少なくなった。


携帯片手に運送業者やオフィスビル側の担当者と連絡を取り合い、ここ数日はほとんど一日中自分のオフィスとイベント会場を行ったり来たりだ。


イベントの三日前には、配布用サンプルが届く。
前日には子会社の商品であるチーズが納品される。
会場設営の為にホールを借りているのは前日の夜からで、当然夜通しの作業になる。
このプロジェクトチームの全員で取り組む山場になるのは間違いない。


今までこんな体力勝負のプロジェクトに関わったことはないし、徹夜になるのが目に見えてる状況に陥ったことはない。
不安はあるけれど、それはメンバーみんなが同じ状況だ。


強くなる。
そう決めた私に最初に襲いかかる試練。
絶好のチャンスだとも思っていた。


だって、頑張ってやり遂げれば、強い私を篤樹にも見てもらえる。
負けない私を認めてもらえる。


気持ちだけが先走って、多少の疲れは気付かないフリをして、張り切るしかない。
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