俺様黒王子とニセ恋!?契約
その日、私は倉庫に格納する荷物が午後到着するとの報を受けて、お昼を早めに済ませた後、会場の倉庫に向かった。


地下の広い倉庫には、オフィスビル側から借り受けた折り畳み式の長テーブルやら放送機器やらが既に確保されて置かれている。
ここ数日で運び込まれた荷物もあり、最初に入った時より乱雑で手狭な気がした。


そう待つことなく運送業者から電話が入り、私は荷物の搬入に立ち合った。
段ボールの個数を確認して、受け取りのサインをする。
そうして、オフィスでプリントアウトして来たチェック表に日付と時間を書き込む。
それが済むと、ふうっと無意識の溜め息が漏れた。


金子さんも子会社側のメンバーも仕事に忙殺されているんだろうけど……。
この荷物の配置、酷すぎる。


チーズを冷蔵する為の大型冷蔵庫も納品前日に運び込まれるはずだし、今のうちにちょっと整理して、今後の動線を確保しておいた方がいい。


そう判断すると、よし、と独り言を漏らして、私はニットの袖を軽く捲った。
そうして、つい今納入されたチラシの入った段ボールを、よいしょと持ち上げた。


その時……。


「勇ましいな」


倉庫のドアが開いて、そんな声が反響して聞こえた。
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