俺様黒王子とニセ恋!?契約
けれど。


「四宮さん、泣いてる場合じゃない!」


金子さんの鋭い一喝にビクッと肩を震わせて、私は反射的に顔を上げた。


そして、思う。
泣いちゃダメだ。


失敗を怖がるのは私だけじゃない。
仕事の出来る頼もしいリーダーも、プロジェクト成功の為だけに、今、焦りを抑えて一心に冷静になろうとしている。


――動揺してる場合じゃない。


グッと唇を噛みしめて、込み上げる涙をのみ込んだ。
一度大きく深呼吸をして、私もなんとか呼吸を整える。


「す、すみませんでしたっ……」


もう一度大きく頭を下げて、そしてすぐに姿勢を正す。
そうして、強張った表情のまま、金子さんをグッと見上げた。


「私……私は何をしたらいいですか? 何か私に出来ること……」


声を張り上げて、金子さんの指示を仰ぐ。
立ち直った私にホッとしたように、金子さんは私の頭を一度ポンと叩いた。


「すぐ片桐と橋本さんに連絡しろ。これから至急で追加発注が可能かどうか。俺は今ある分だけで何が出来るか、代替案を検討する」


「はいっ……!」


そう言われて、私は携帯を片手に電波状況の悪い倉庫から飛び出した。
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